見開かれている清水の目が心美をとらえた。

「――あんたなんか、宍戸くんの前からいなくなればいいのよー！」

清水が悲鳴のような声で叫んだかと思ったら、カッターナイフを片手に心美へ突進してきた。

「やめろー！」

宏美は叫ぶと、心美の前に立った。

心美を自分の腕の中に引き寄せて守ろうとしたその瞬間、
「――ぐあっ…！」

左肩に激痛が走った。

「――宏美…！？」

心美が泣きそうな声で宏美の名前を叫んだ。

「――あっ、あっ、あっ…！」

思わぬ出来事に、清水はパニックになっていた。

宏美の左肩にはカッターナイフが突き刺さっていた。

清水は戸惑いながら突き刺さっているカッターナイフを外そうと、肩から下へと下ろした。

「――うっ…！」

カッターナイフが躰を離れた瞬間、宏美は膝から崩れ落ちた。