「……お前今日のこと、男に話したか」
 
「え……?」

「話したか?今日出かけること」

 なんでそう聞かれたのか分からなかったけど、私は「……いえ。黙って出てきました」と答えた。

「家には帰らない方がいい。また暴力を振るわれるぞ」

「……でも、死ねなかったから……っ」

「お前、スマホは持ってるよな」

「……スマホ?」

 スマホは持ってきたけど、何でそんなことを聞くのだろうか……?

「スマホ貸してくれ」

「え?……あ、ちょっと!?」

 その他人は私からスマホを奪うと、スマホの電源を切り、SIMカードを抜いた。
 
「ちょっ!な、何するんですか……!」
 
「このスマホは、今すぐ解約するべきだ」

「え……?」

 解約するべきだって……?

「このスマホにはGPSが入っている可能性がある。 そしたらお前の居場所はまたたく間にバレて、また連れ戻されてしまうぞ。……それでもいいのか?」

「っ……!」

 そんなの……。そんなのはイヤ……!
 またあんな地獄は味わいたくない!……二度と、味わいたくなんてないの……。

「早くそのスマホを解約して、すぐに新しいのにするべきだ。 電話番号も変えた方がいい」

 そんなことしたら、また猛の怒りを買ってしまう……。

「お前は生きるんだ。 お前が死んでも、何の解決にもならない」

「……っ」

「お前は生きるべきだ。 ここで人生、諦めるのか?」 

 そう言われて私は、小さく頷いていたーーー。