それからというもの、猛からの暴力は続いた。

「っ……」
 
 暴力に耐えるのは必死で、いつも唇を噛み締めていた。
 体は震えて、恐怖で動くことも出来ない。

「……もう限界」

 私は耐えることに限界になった。もう無理だ、もう死ぬんだ……そう思った。
 猛は昼間は仕事でいない。だから私は、財布とスマホだけを持って、家を出た。鍵も持たずに、上着を持って出かけた。

「……ごめんなさい」

 本当にごめんなさい……。もう無理です。
 私は死にます。もう耐えられません……。

 私は死ぬつもりだった。死ぬつもりで、ここにきた。

「……よし」

 ふと見渡してみたが、ビルの屋上には誰もいない。これなら誰にも見られずに、一人で死ねる。

「バイバイ……」

 ビルの屋上の高さは相当高い。ここから飛び降りたら、即死だ。
 いいんだ、これで。……いいのよ、これで。

「……っ」

 だけどいざ飛び降りようと鉄格子に足をかけると、恐怖で足が震えた。
 急に怖くなった。

「何で……」

 何で震えるの……。何で怖いの?なんで……。

「お願いだから、死なせてよ……」
 
 もう生きていたって仕方のない人間なの。私は死んで楽になりたいの……。

「……さようなら」
  
 今度こそ死のう……。
 そう思って鉄格子に足をかけた、その時だったーーー。

「おい、何やってんだ……!!」



 私に、ある一筋の光が射したーーー。