「あの証拠があれば恐らく、アイツは暴行罪に問われるだろう。……もう美結に近づくことも、美結に会うことも出来ない」
警察署から出た大和さんは、私の手を力強く、ギュッと握ってくれた。
「……私、これでもう変われますか?」
「美結、変われますか?じゃなくて……もゔ変わっだだろ?」
大和さんは立ち止まると、私の目を見つめてくる。
「……え?」
「美結は前を向くために、自分の足で一歩を踏み出した。……それは、すごく勇気のいることだ。殻に閉じこもっていたお前が、それを克服出来たのは、すごいことなんだぞ」
「っ……はい」
大和さんの熱い言葉が耳に、そして胸の奥にも伝わってきて、涙が出そうになる。
「美結、お前を縛るヤツはもうどこにもいない。……もうお前は自由なんだ、もう何にも縛られる必要なんてないんだ」
「ゔぅっ……ふぅ……っ」
私の涙はとめどなく溢れだした。そしてその場に座り込む私に、大和さんは「美結、お前は今日から自由だ。……おめでとう」と言ってくれた。
「やま……と、さん……」
「美結はもう幸せになっていいんだ。 自分が進みたい道に、進めるようになったんだから」
「っ、はいっ……」
私は幸せになれるのかなんて、分からない。これからだってきっと、何かを思い出したりするだろうし、トラウマから抜け出せないこともあるかもしれない。
でも私は、もう自由になったんだ。誰にも縛られなくていいし、何かにすがる必要なんてない。