そう訴えると猛は……。

「ゔぅっ……!!」

 今度は私のお腹を蹴りだしてきた。

「ゔっ……やめてっ……」

 蹴られた所が痛い。……痛くて涙が出る。

「おい、美結。お前は俺のなんだよ、俺のそばから離れることは許されないんだよ?……分かってんのか?」

 髪を引っ張られ、頬を叩かれ、私は恐怖に耐えるしかなかった。
 ……思い出してしまう、あの時の恐怖を。

「たけ、し……。お願い……やめて……」

 大和さん、お願い……早く帰ってきて……。
 そう思っていた、その時ーーー。

「美結……!!」

 私たちに気付いた大和さんが、勢い良く走ってきた。

「大和……さん……」

 良かった……来てくれたんだ……。

「おい、美結から離れろ!」

 大和さんは猛の頬を殴り、私を抱き寄せてくれた。

「いってぇな……。何すんだよ!!」

 猛は大和さんを睨みつけている。

「お前が猛か。 お前本当にクズ野郎だな」

 大和さんの顔には、怒りが湧き上がっていた。

「……なんだと?」

「女を殴って楽しいか? 女に手を上げて傷つけて、お前は本当にクズ野郎だな。お前は男として最低だ。 女を殴るなんて、マジでありえねぇんだよ!」

 大和さんの怒りは、収まりそうになかった。猛を怒鳴り付けていた。

「大和さん……」

「分からねぇようだから教えてやる。美結はお前の物じゃねぇ、一人の人間なんだよ」

 大和さん……。