「んっ、猛……」

「美結……っ」

 こうして殴られた後、猛はいつも私を抱いてくる。大事なのか、大切そうに抱いてくる。
 だけどそれを断わると、また殴られる。……そう思ってしまって、拒むことも出来ない。
 拒否したら、何をされるか分からない。そう思うだけで、怖くて抵抗も出来ない。

「あぁっ……美結っ……!」

 ただひたすら、私は猛が限界を迎えるのを待つだけ。 もうセックスが気持ちいいなんて感覚、ないかもしれない。
 ただ殴られたくないから、それだけのために私は猛に抱かれる。 そこには愛なんて、あるか分からない。

 でも私がガマンすればいい。私が何もしなければいい。何も言わなければいい。
 そう思って今を生きている。 一日が過ぎるのは本当に長くて、それでも私は毎日辛い日々に耐えなければならない。
 何も言い訳もせず、ただ大人しくするしかない。……私の人生って何なんだろう。
 
 こんなつまらない人生を送ってても、何も意味がないのに。
 最初は猛といると、楽しい日もあった。ものすごく幸せだと思っていた。

 でも今は、そんなのを感じることはない。猛とは別れたいと思ってる。
 でも出来ないんだ、そんなことしたらまた暴力でねじ伏せられるだけだから。

「美結……大丈夫か?」

「……大丈夫だよ」

 本当は大丈夫なんかじゃない。 大丈夫な訳がないって……。
 猛のせいで私は、こんなに辛い日々を送ってるんだよ……。