私は何も出来ない。大和さんに甘えてばかりで、何にも出来ない。
 ……私はいつも一人だ。守ってもらうなんてことは、なかった。
 いつも一人で抱えて悩んで、そして泣いた。最後は絶望した。

「大和さん……私……」

「……美結?」

 大和さんが私を心配そうに見つめる。

「私……生きるのが怖いっ……」

「………」

 私のその言葉に、大和さんは口を閉ざしたままだった。 そして静かにタバコに火を付けて、ふぅっと白い煙を吐きだす。

「……美結」

「んっ……っ」 

 タバコの火を消した大和さんは、私の名前をそっと呼び、少し乱暴に唇を奪ってきた。
 その唇は、すぐに離れたけれど……。

「……大和さん?」

 なんで今、キスするの……?

「自分のために生きるのが辛いんだったら、せめて俺のために生きろ」

 大和さんは私の目をジッと見つめながら、そう口にした。

「……え?」

「お前は俺のそばにいるためだけに生きろ。……それが美結、お前にとって俺への恩返しになる」

「恩返し……」

 そうだ、私は大和さんに助けてもらった。だからこそ、大和さんには恩返ししないといけない。
 拾ってもらったことの恩返し、そばにいてもらっていることの恩返し。

 私は大和さんに感謝しなければならないから。
ずっとずっと……。

「俺が美結にとっての、生きる意味になってやる」

「……っ」

 大和さんが私にとっての、生きる意味ーーー。