高根沢さんはソフトクリームを美味しそうに「美味い」と言いながら食べていた。

「ごちそうさま、でした」

「おう」

 食事を終えた私たちは、再び高根沢さんの運転する車に乗り込み高根沢さんの住むアパートへと帰った。

「お、お邪魔……します」

「服、その辺に置いとけ」

「はい。ありがとうございます」

 私は紙袋を端の方に置いた。

「なあ、美結」

「はい……?」

 私は高根沢さんの方に振り返った。

「お前、ベッドで寝ろ」

「……えっ?」
 
「だから、俺は布団敷いて寝るから、お前は今日からベッドで寝ろ」

「えっ……! いや、そんなこと出来ません!私は布団でいいですから……!」

 そこまでしてもらわなくても、私はいいのに。

「ダメだ。お前はベッドを使え」

「……高根沢、さん」

「いいか、美結。ここでは俺の命令は絶対だ。……分かったか?」

 そこまで言われたら、断れないよ……。高根沢さん、ずるい。
 そんなの、反則に決まっているよ……。

「……はい。分かりました」

「いい子だ」

 高根沢さんはフッと笑うと、私の頭をグシャグシャと撫でた。

「高根沢……さん」

「美結、お前は幸せになる権利がある。……一人の男のために、人生を狂わされちゃダメだ。 お前は強くなるんだ、美結」

 高根沢さんのその言葉に、私は涙がボロボロと溢れた。
 そんな私に、高根沢さんは「美結、大丈夫だ。お前は必ず、幸せになれる」と言葉をくれた。