「俺、春香を探しに行ってくる。」
「え、なんで、私も行く。涼1人では行かせない。洸太も行くでしょ?」
「深沙、とりあえず、行かせてあげて。事情は説明するから。ね?」
深沙はごねたが、洸太から何かを耳打ちされて、一気に引き下がった。

「なるほど。そういうことねwそれなら、早く行って。でも、居場所に心当たりはあるんでしょうね〜?」
「もちろんだ」




「はぁ」
飛び出してきてしまったものの、より迷惑かけただろうな。でも、いる方が迷惑かな。まあ、もうどうでもいいや。心配なんてしないだろうし。私なんて、いなくてもあの3人はやってける。やってけるよ。
 どうでもいいことばかり考えてしまう。こんなこと小学校の時はなかったのに。

〜1年前〜
 人に話しかけるのが怖い。なんでだろう。小学校の時は、人見知りとかしないタチだったのに。
 1週間くらいして気づいたんだ。小学校の時友達が多かったのが、たまたま友達になった、涼とかが友達多かったからだって。友達の友達は友達、みたいなやつかな。私個人の友達って、今思えば少なかったのかもしれない。



「おい、くだらないこと呟いてんじゃねぇよ」
「      え...?」
なんで、
「なんで涼がここにいるの、私に時間を使わないでって、メモに書いたじゃん。なんでよ、探さないでよ。」
「探すに決まってんだろ。」
「なんで場所...?」
「わかるに決まってるだろ、付き合い長いんだからよ」
「もう、やめてよ、、、。どうせ、私なんて、いらないくせに。必要ないくせに。変な情けかけるから、勘違いするんだ。」
これだけ、クズなこと言っても、自分勝手で自己嫌悪丸出しで、涼のことだって悪く言ってるのに。なんで離れていかないの?なんでずっとそこにいるの?

「あのなぁ。」
いつもより、声が低い。怒ってる時だ、涼の声が低くなるのは。
「俺は探したいから探してる、必要としていないのに、興味がないのに、探すわけがないだろ?小学生のときと変わりすぎなんだよ。うざったいな。」

すう、と息を吸う音が聞こえる。怒鳴られるかな、そう思った時。
「俺は、お前が、好きなんだ!だから、別に役に立たなかろうが、迷惑かけようが、なんだっていいんだよ。それに、昔から思ってたけど、お前は役に立たなくなんかないんだよ。無駄に楽観的な思考だけど、そこが、周りを巻き込んで、明るくさせる。それがお前のいいところ。多少の迷惑も、そんなの人間ならあることだし。」
よくわからないことを言われ、よくわからないことが続き、混乱していた。

「とりあえず、俺はお前が好きだ。付き合ってくれ」
「へっ?あ、はい!」
「は?今、はい、って言った?」
「うん」

『カップル誕生、おめでと〜』
冷やかしが入ったのはその時だった。
「深沙?」
「洸太、お前なぁ〜」


私たちは部屋に帰って、これまでのことを話した。私と涼が同じ小学校であること。私が無駄に自己嫌悪拗らせていること。包み隠さず、全部話した。軽蔑されて、嫌われてしまうことを覚悟して。
「ww春香ってば、そんなこと悩んでたの?いっつも楽観思考なのにw」
「そんなことを俺らが気にするわけないだろ」
と笑われてしまった。全て、私の杞憂に過ぎなかったようだ。

「あぁそっか、みんな私が思ってたより優しくて心が広くて。私の悩みなんて大したことなかったんだね」
「そう。心配しすぎなの、春香は」
「そっか、ありがとう」

「ひと段落ついたなら、王選に向けて、もうひと頑張りするか。」
『うん!』
そう言ったが最後、意識が途切れた。