マランさんがこのアパートの大家さんと事前に話をしてくれていたおかげで、私たちが中に入ると、「お待ちしておりました」と言われ、部屋に案内された。

「ここが、皆さまのお部屋となります。数日間の家賃はマラン様からいただいておりますので、ご心配なさらず。何か御用がありましたら、いつでも一階まで来てくださいね。」
そう言って、ドアを閉めて出ていった。


やっぱりマランさんは偉い人なんだよなぁ。

「おぉ〜。思ってたより広いじゃねえか。」
「確かに。2LDKみたいな感じかな?」
2人の言う通り。思っていたより広く、4人で暮らすには充分、、、


「って、そういえば、私は、深澤と新垣と一緒に住むの⁉︎」
「はぁ?今更何言ってんだお前。ずっと前から言ってんじゃんか。」
「そういえば、私たち、4人で同棲という形に…?」
「桐谷も何を今更〜」
男子2人は当たり前のように言うが、よく考えてなかった。そうだ。本来ならあり得ないけれど、ここは異世界。この前までの世界とは訳が違う。だから、4人で住むことになってもしょうがない、、、のか?

「ま、まあ、2部屋あるし、私と春香で。それと深澤と新垣で部屋使えば、問題ないよね⁉︎」
珍しく、あからさまに動揺している。私の言えたことではないが。

「え〜つまんないなぁ。どうせなら、グッパとかさ、じゃんけんとか、そーゆーので決めようよ」

は?なんか、イケメンが変なこと言ってる?空耳?


「そうだぞ。面白くねぇじゃん。じゃんけんで決定だな。」
「、、、?ちょっと待った。どゆこと…」
「待たねえ待たねえ」

「それじゃあ
『じゃんけんぽいっ』

あー負けた。やばい。女子2人で負けるという、最悪な事態に。これじゃあ、深沙と同室にはなれないじゃん‼︎深沙を見ると、それはそれは動揺していた。


「じゃあ、うまくやれよ」
「うん、そっちもね」
『、、、、何を⁉︎』


最終的に、私と新垣、深沙と深澤というペアに決まったのだった…。



 部屋を決めるのに多少のハプニングはあったものの、その後はなんとかうまくいった。もう夕方だったため夕飯を作ろうとして材料を探せば、野菜や調味料などたくさんあったし、お風呂の後の着替えまで用意されていた。
 この街の人は、なんて親切な人ばかりなんだろう。
 
 料理は、深沙と深澤が、洗濯・掃除は私と新垣が、それぞれ担当することに決まった。



『おやすみ〜』
私たちは、お互い1部屋に1つしかないベッドで寝るというちょっとしたハプニング以外はなんとかこなし、1日を無事終えることができた。