「これは夢だこれは夢だ」
「現実逃避しない。こいつがレッドジャスパーだよ」
「う、うそだあ!」

 無慈悲な宣告に力が抜けてその場にへたり込む。

「あれえ……喜んでくれると思ったんだけどな?」

 しゃがみ込んだレッドさん(仮)が私の頭を撫で撫でしてきた。
 
「オレはニコちゃんに会えるのを楽しみにしてたんだよ?」

 私の中のレッドさんは簡単にそんなこと言わない……はず。

「そんなにガッカリされるとヘコむなぁ」
「あっ、ご、ごめんなさい」

 残念そうな声がして私はレッドさん(仮)を見上げた。

「やっと……」
「えっ??」

 ボソッと呟くレッドさん(仮)に、首を傾げる。 

「会えて嬉しいよ、にじいろさん」
「……!」

 すると、それまで笑顔だった彼が真剣な顔をして……私の心臓はギュッとつかまれたかのような衝撃を受けた。
 切れ長の目に通った鼻筋。形のいい唇と白くて綺麗な肌。よく見ると顔面偏差値がめちゃくちゃ高い。
 そして、言わずもがな特段に声が良かった。
 声を聞いた時点で、レッドジャスパーさんだってすぐにわかったんだ。でも、キャラが想像とかけ離れてて……素直に認められない自分がいる。