やってきたのは、みなとみらいのナイトクルージング。優勝の副賞のひとつだ。ブュッフェ付きのペアチケットなんて、粋なプレゼントをしてくれたもんだ。
 
「どれも全部おいしくて、幸せ〜」

 中華料理を美味しそうにほおばる虹子を、眺めているオレの方が幸せかもしれない。
 小学生のとき、家族で何回か来たことはあるけど……相手が好きな子だと、特別感が全然違った。

「デッキの方に行ってみようか」
「はい」

 外へ出てると、開けた海が視界に広がった。
 
「キレイ」

 振り向くと、夜景をバックにした虹子がキラキラと輝いていた。

「うん。すごく綺麗だね」

 オレは彼女の頬にふれた。

「風も気持ちいい」

 自分のことを言われているとは、思ってないんだろうな。
 初めて会ったとき、イメージ通りのか可愛らしい子だと思った。顔が見えないネットでのやりとりでしか、つながることができなかったのに。明るくて元気な現実のキミに、違和感を抱くことはなかった。
 ずっと応援してくれるキミに会いたいと、思ってはいたけど。本当に会えることができるなんて、正直夢を見ているんじゃないかと思った。
 でも、春渡のおかげでキミに会えた。
 これは運命というよりも、必然だったのかと思えてしまう。オレたちがゲームを好きなことも、春渡と友達になれたことも。
 そして、虹子。
 キミが、オレを見つけてくれたことも――