「キングフィッシャー選手とレッドジャスパー選手はこちらへお願いします」

 歓声の中、ステージ中央へ歩いてくるふたり。

「本当に……優勝したんだ」

 その勇姿がスクリーンに映し出される。なんだか夢を見ているような、実感がないままインタビューが始まる。

「優勝おめでとうございます! 見事な逆転劇でしたね!」
「ありがとうございます」

 トロフィーを渡され、大会サポーターの芸人さんにマイクを向けられた兄はペコリと頭を下げた。

「おめでとうございます。それにしても君めっちゃイケメンだね」
 
 カイくんを見上げた相方さんが会場の笑いを誘う。

「ありがとうございます」
「いや、声もイケボかい!」
「いえ、そんな……」

 照れるカイくんに、胸がギュンッとなって。とても良い仕事をしてくれるコンビに、拍手を送る。

「キングフィッシャー選手はメガネが似合う知的イケメンって感じだね」
「どもっす」
「謙遜しないんだね!? 素直かい!」

 さっきまでの熱狂の余韻を残しつつ、笑いに包まれる空間。
 
「気を取り直して伺います。今どんな心境ですか?」
「嬉しいです」
「即答だね。ブレない感じがいいね」

 淡々としている兄をうまく持ち上げてくれる芸人さん。
 
「レッドジャスパー選手は、どうです?」
「そうですね。安心しました」
「と、いうと?」
「勝利の女神と約束したんで」

 カイくんの答えに、ドキンと胸が高鳴る。

「勝利の女神? もしかしてこの会場にいらっしゃってる?」

 会場を見渡す相方さんに、ざわめきが起こった。