どんどん小さくなる安地の中に、あと20人ものプレイヤーがひしめいている。でも、次の瞬間にキルログがまくしたてるように更新されていった。
 うそ……みたい……
 立て続けにレッドジャスパーが撃破を重ねて、息を呑む。
 
「レッドジャスパーが怒涛のキルムーブ!!」
 
 実況の興奮した叫びが会場に響き渡る。瞬間、レッドの視点に画面がスイッチした。

「ここにきてついに覚醒したああ!!」
「いやあ、彼のポテンシャルの高さには驚かされます。プロ顔負けの大健闘です!」

 解説者をうならせるほどの活躍を見せて、なお快進撃は止まらない。
 ああ、本当に……すごいなあ。 
 階段を上がり、振り向いてさらに上へ……塞がれたところを横へ逸れ、相手の進路をふさぎながらハイグラを取る。
 そのなめらかな動きに、私は見とれた。
 兄の造設と修正が目にも留まらぬスピードであるのに対して。カイくんの動きは、速さは劣るけど……とても優雅で、難しいことをやっているように見えないんだ。
 
「かっこいい」 

 隣で「何が?」と母の声がしたけど、スクリーンから目が離せなかった。

「息の合った攻撃をみせるキングフィッシャーとレッドジャスパー!」
「反撃のいとまを与えず、敵に素材を使わせています。あっ、ダメージも入りましたね」
 
 もうすぐで安地が閉まる。

「ここでふたりとも下へ降りて行った」
「勝負に出ましたね」
 
 オムライスさんが包帯を巻いている。

「見つかってしまったー!!」

 実況の叫びと同時に、レッドのショットガンがすべてを終わらせた。