プロでもそう簡単にできることじゃないと思うけど……極限の集中力が、そういったゾーン状態を生み出すのかもしれない。

 ラストだからか、これまでよりプレイヤーの減りが早い。中盤の終わり頃には、残り25チームまでに減少していた。
 でも、なんとか生き残ってる。
 キングとレッドはセカンドハイをキープして、ボックス内で回復をして体制を整える。その間、一高とF高はハイグラの獲り合いをしていた。 
 一高がハイグラを制したすぐあと、画面が切り替わって。レッドが、修正した壁のスキマからプレイヤーに狙いを定めていた。床を貼りながら安地内へ向かってくるところを、正確に当て続けていく。
 うわあ……エイム良すぎ。
 連続でダメージを与え、慌てた敵が落下していった。キングもスナイパーで次々と敵を沈めていく。
 なんか、ふたりとも調子良い?
 すでに合計15キルしていて、会場からどよめきが起こった。

「縦浜高校が追い上げてくる!」
「このふたりは常に冷静な判断ができて対処も的確です。相当な鍛錬を積み重ねてきたのでしょう」

 わかってくれるんだ……ふたりの努力を。
 解説者の言葉に、喉の奥が苦しくなって涙があふれた。 
 報われてほしい。
 ここにいるどの選手も同じだってわかっているけど、それでも。私は、ふたりに優勝してほしい。