第3試合が終わった時点で(たて)高は44ポイント、ランクは3位のまま。
 ナンバーワンは再び一高が獲って、トップに返り咲いた。
 1位と2位の差は、わずか2ポイント。だけど、3位の縦高は一高と4ポイントの差がある。
 最終試合でナンバーワンを獲れないと逆転は厳しくなる。もしくは大量の撃破ポイントを稼がないと勝ち目がない。もう、後がない。

「晴渡たち勝てるかしら?」
「可能性はゼロじゃないよ」

 心配げな母に、私は自分に言い聞かせるように答えた。

「晴渡ならやってくれるさ。なんせ俺の子だからな」

 そのセリフ、言いたいだけなんじゃないかな。
 母と私は顔を見合わせ、笑った。

「ありがとう、お父さん」
「ん? なんでお礼を言われるんだ?」

 こんなときでも相変わらずの父に、張りつめていた糸がしなやかに緩んだ気がした。冷たくなっていた両手を組んで祈るようにスクリーンを見つめる。

「最終ラウンドが開始されました! 泣いても笑っても、これが最後の戦いだ!」
 
 気合の入った実況に、会場のボルテージが上がっていく。
 最終試合は、時に誰にも予想できないことが起こる。プロが出場する大会でも、最後の最後に巻き返して優勝することがある。敵がいれば積極的に戦闘をして、勝ち続けていく『キルムーブ』がそれを可能にする。