安全を確認しつつ早めに移動すれば、後から来た敵を狙い撃ちすることができる。向かっている先には街があるから、運が良ければ漁夫の利も狙えるかもしれない。
 精鋭だらけのマッチはなかなか人数が減っていかないから、早い段階で敵にダメージを与えておきたいところ。
 終盤にかけてプレイヤーの人数が残りすぎていると、一定値の()ダメージがないとイカヅチが落ちてきて徐々に体力が削られていくルールがあるからだ。
 強者揃いのマッチじゃないとなかなか見られない現象であり、回復アイテムを消費する上にダメージを受けながらの戦闘は不利以外の何者でもないのだ。
 ふたりのキル数(撃破数)はまだゼロだけど、幸いキングはスナイパー、レッドは中距離武器のライフルを装備しているから……遠距離攻撃で、ワンチャン狙えるかもしれない。
 ああ、切り替わっちゃった。
 個人視点だけじゃなくマップ全体を映してくれることもあるから、常に戦況を確認しながら祈るように見守る。
 
「やった!」
「えっ?」
「な、何が起こった??」

 キングが敵を倒したとキルログに流れ、思わず声を上げたら両親をびっくりさせてしまった。

「お兄ちゃんが撃破したよ」
「あら、やったわね。すごいじゃない!」
「どこを見たらわかるんだ?」
「画面の左側」

 視線をスクリーンに向けたまま答える。