「序盤からニアミス!」
「初動で戦闘は避けたいですね。安地からも遠いので、ここでの対戦にメリットはありません」
 
 実況のアナウンサーと解説のプロゲーマーが、ピックアップされたチームの戦況を伝えてくれる。

「無用な戦闘は避け、距離を保ちつつ双方離脱した」
「妥当ですね。安地へ向かいながら素材や物資を集めます」

 第1安地は……右下か。そんなに遠くなくて良かった。
 最悪の場合、降りた場所と安全地帯が対角線上になることもある。
 そこは運と割り切って、マップを4分割にしてそれぞれに固定降りをする場所を決めた。そして、マッチごとにジェット機の軌道から離れた場所を選択するようにした。
 降下地点を固定すればどこに何があるか把握することができるし、効率的にルートを通ることができる。
 計4パターンの立ち回りを想定したことによって、ふたりの練習量は相当なものになってしまった。
 夏休みは文字通りゲーム漬けの日々だった。でも、大会のための動きを徹底して練習することで余裕が生まれたと思う。

「あっ」
 
 キングの視点が映ったので、すかさず画面に目を走らせた。体力とシールドは限界値、素材も最低限の量は集まっていて一安心する。
 回復系アイテムは問題ないけど、現時点では武器のレアリティは微妙だな。
 安地が収縮するまでまだ余裕はあるけど、ふたりはすでに移動を開始していた。