この人数じゃ見つけるのは無理だと思いながらも大きく手を振ってみる。お兄ちゃんの分も両手で振っとこう。 

「こっち見た!」
「目ぇ合った!?」
「気のせいじゃん?」
「でも、ずっと見てない?」

 後ろから興奮した声が聞こえた。正面から少し左にずれた真ん中の位置にいるけど、カイくんがこっちを見ていることはわかる。周りに気を遣いつつ、手を振り続ける。

「えっ、笑ってない?」
「レアじゃん!」
「マジヤバくない?」
「好き……」

 お姉さんたちの反応に胸がちくっと痛む。
 いやいや、今は応援に集中しないと。

「晴渡の相方の子、イケメンね」
 
 隣で母が耳打ちしてきた。 

「そ、そうだね」
「虹子はふたりのお手伝いをしてたのよね?」
「うん」
「ふうん。なるほど」
「何が?」
「ううん。優勝してほしいね」

 ニッコリと笑う母に、私は首を傾げた。
 
「ふたりで盛り上がらないで、お父さんも交ぜてくれよ」

 すると、反対隣から父が身を乗り出してきた。

「はいはい。みんなで応援がんばるわよ」
「適当にあしらうなよ〜」

 がっくりとした父に、母と笑い合う。
 私、緊張してたんだ……
 笑ったことで肩の力が抜けたことに気づいて、私はホッと息をついた。