開会式が始まり、その様子が目の前のスクリーンにも映し出された。芸能人やプロゲーマーなどの登場に、会場のボルテージが上がる。
 高校生の大会は今回が初めてなのにスポンサーが何社かいるし、事前からプロモーションも活発にしていた。それだけ、この大会はゲーム業界内で注目されている。
 ここまで規模が大きくなったんだ。
 年々eスポーツが盛り上がりを見せていることは、ゲーマーとしてとても喜ばしいことだ。

「あっ、来たわよ!」
「絶対勝てよお!!」

 選手が入場すると父が気の早い声援を送った。

「きゃー!」
「かっこいいー!」
「こっち向いて!」
「がんばって!」

 でも、その叫びは後ろの黄色い声に掻き消された。
 カイくんの取り巻きのお姉さんたちだ。
 振り返ると、男女で盛り上がっている集団がいて圧倒されてしまった。
 同じ学校の人たち、かな?
 カイくんのお母さんも家族で応援に行くって言っていたし。味方がたくさんいて心強いだろうな。
 私はステージに視線を戻した。ふたりとも私がプレゼントしたお揃いの黒いTシャツを着てくれている。
 はあ、黒も似合うなあ。
 すでに髪を結んでいるカイくんに見とれてしまう。
 キョロキョロしてるけど、私を捜してくれてたりするのかな?