「ニコちゃんさ、オレのライブ情報とかよく拡散してくれてたよね」

 料理が揃ったところで話が再開した。
 
「はい。あのときはレッドさんの魅力をみんなに知ってほしかったから、めっちゃ宣伝してました」

 たった数ヶ月前のことなのに、懐かしいなあ。

「おかげでだんだんフォロワーが増えてって。でも、その代わりにニコちゃんが遠くなった気がしたんだよ」
「そっ、それは私のセリフですよ? なかなか絡めなくなって……まあ、フォロワーが増えれば当然の流れですよね」

 あれ、笑顔引きつってない?
 自分でもわかる……これはウザいやつ。

「そこは言わせてほしいんだけど、絡みたくても我慢してたんだ。特別扱いして、ニコちゃんが反感を買うようなことは……したくなかったから」
「私のため?」

 信じられないけど、目の前でうなずくカイくんに胸がきゅんとなる。

「うん。配信は気まぐれで始めたけど、ニコちゃんの反応が嬉しくて、楽しくて……いつのまにかハマってた。荒らしとか中傷もあるけどさ、それをはねのけるくらい、キミの存在がオレのモチベーションになってるんだよ?」
「それは、ほめすぎなんじゃないですか?」

 さすがに恥ずかしくなって、うつむく。

「だから、助けられてるって言ったでしょ?」

 ああ、そういうことなのか。

「私たち、お互いに支え合ってたんですね」

 私は顔を上げて微笑んでみせた。