「今度は集中して見ろよ」

 気が散っていたこと、兄にはバレていたらしい。

「はーい」

 私の適当な返事に兄は苦笑、カイくんはニコニコと笑んだ。
 でも、それぞれ腕前に文句のつけようがないからなあ。
 強いて言うなら、それぞれひとりで戦ってるってことかな?
 デュオの強みを活かせてないというか。
 私はふたりのプレイを順番に観察し再確認してみることにした。

 このゲームの最大の特徴は、造設と修正という機能があることだ。素材を集め、それを元に壁や床などを作ることができる。そのおかげで何もないところにヤグラを建てたり攻撃から身を守ることが可能になる。
 それぞれのピースは修正して形を変えることもできるから、抜け道を作ったり不意打ちを狙ったりできて。レベルの高い試合になると最後の方は造設バトルで本当にカオス状態になる。
 でも、その戦いを成立させるためには素材を集めなくちゃいけない。倒した敵から素材を回収することはできるけど、敵に遭遇すると倒されるリスクが伴う。
 プレイヤーが集まりやすいところに降りるのはハイリスクで、かといって何もないところへ降りてしまうと素材はおろか武器や弾薬を回収できなくなる。
 プロや猛者(もさ)なら問題はないだろうけど。勝てる確信がなかったら、普通はやらない方がいい。
 安全地帯、略して安地(あんち)が判明するのにも数分掛かるから、最初の降下地点を見極めるのはとても重要な要素になる。