あれ……ヤバいかも?
 なんか意識しちゃうな?
 さっきまで大丈夫だったはずなのに。
 生レッドさんの破壊力、すごすぎやしない?
 
『カタカタカタ』

 震えるな、私の手!

「ふう」

 トレイを慎重にローテーブルへ置き、私はそのまま正座をした。
 やっぱり、かっこいいな?
 見慣れてきたらそんなにチャラくない気がしてきた。そもそも、見た目から好きになったわけじゃないし。
 そうだ、レッドさんは私の“推し”なんだから。ありのままの彼を受け入れよう。
 
『推しと会ってしまった』

 だいぶ遅れて実感が湧いてきて感情が忙しい。

「オレ、モナカ好きなんだよね。ニコちゃんとはやっぱり気が合うのかな」

 私が選んだ手土産をレッドさんが嬉しそうにほおばる。 
 好物が一緒だなんて。レッドさんに会えるとは思っていなかったけど、ちゃんと選んで良かったと思った。

「食べながら話そうか」

 3人でお茶会が始まって、なんだか不思議な感じがした。
 昨日までレッドさんは遠い存在だったのに。まさかお兄ちゃんの友達だったなんて。
 想像と全然違ったけど、私が勝手に理想を作り上げただけでレッドさんのせいじゃないし。
 色々、失礼なこと言っちゃったな……