「すごい」

 自宅にゲーミングルームがあるなんてこれが格差社会なのか。 
 これは回線も強そう……最高の環境だな。
 
「ほんとにレッドジャスパーさんなんですね」

 こんなものを見せられたら、嫌でも認めざるを得ないよ。

「いいねー、そのリアクション♪」
 
 振り返ると彼は嬉しそうに笑っていた。
 な……可愛いかよ……
 不覚にもキュンとしてしまう。

「まだ疑ってたのかよ?」
「お兄ちゃんがちゃんと説明しないからじゃん!」

 ドヤ顔の兄に私は弛んだ頬を隠すためにそっぽを向いた。

「まあまあ。憧れの人に会わせてやったんだから感謝しろよ?」
「上カラ目線ドン引キデスネ」
「なぜにカタコト?」
「ぷっ、ははっ!」
 
 兄と私のやりとりにレッドさん(確)が吹き出した。

「ふたりとも友達みたいだね。オレも姉さんと兄貴がいるけど、年が離れてるから子ども扱いでさ」

 楽しそうだけど、少しだけ淋しげな笑顔。
 あ、今なんか……私の知ってるレッドさんと重なった。子どもと大人が同居しているような、不安定な魅力というか。
 
「まあ、仲は悪くないよな」
「うん」

 兄と目が合って私はうなずいた。

「うらやましいな。姉さんも兄貴も独立しちゃってるから、実質ひとりっ子みたいなもんだし」
「そっか。じゃあ、妹ができたと思ってこいつを可愛がってやってくれ」