雰囲気を壊したくはない。どうしたものか、と考えていると気づかぬうちにかなりいい時間になっていたようで、参加者の一人が
「そろそろ終わりにしましょうか」と言った。セシウスのことについてたくさん話すことができて楽しくはあったが、サイさんに
少し嫌悪感のある一日だったな、と思っていると、サイさんが話しかけてきた。
「オフ会、これで終わりのようですね。お疲れさまでした」
「はい、お疲れさまでした。楽しかったです」
「僕も楽しかったです。でも、セブンさんとはこれだけのお付き合いというのは寂しいな」
「え?と、言いますと?」
「あ、男に全て言わせるタイプですか?しょうがない女性だなぁ。この後、食事でも行きませんか?」
その言葉に身の毛がよだった。私を狙っているのか?
「すみません、この後はちょっと用事がありまして・・・」
「ちっ、なんだよ。じゃあいいや、お疲れさん」
突然冷たくなって、私の元から離れた。
そんなことがあって、折角楽しいオフ会だったのに最後は気分が悪くなって終わってしまった。ちなみにだが、この後特に予定は
ない。だが、サイさんとこれ以上いるのは危険だと思ったので適当に嘘をついたのだ。その結果が、あの態度だ。やはりこれ以上
踏み込まなくて良かったんだな、と安心して家に帰った。家に帰ってから、スマホでSNSを覗いてみるとやはり今日のオフ会の
話になった。色々な人と話が出来て良かった、またオフ会をやりたいと言う声が上がっていた。私は、もう良いかな、と思った。
オフ会自体は非常に楽しかった。色々な人と、好きなものについて話ができるということは幸せだった。だが、サイさんのような
人がいるということもわかった。ああいう人がいるのであれば、いくら他が楽しくても台無しだ、という思いがある。
そんなことを思いながら、その日は眠りについた。そして翌日になり、オフ会のことを愛子に話してみようと思った。すると
ちょうど大学で愛子を見かけたので、話しかけた。
「愛子、昨日なんだけど、オフ会をしてきたよ」
「あ、そうなんだ!どうだった?楽しかった?」
「うん、オフ会自体は楽しかったんだけど・・・」
「楽しかったんだけど?」
「なんかね、参加者の中に男性が一人いてね。その人がやたらと私の体を触ってきて・・・。それがあんまり嬉しくなかったんだ」
「そうなの?ちょっと、自意識過剰なんじゃない?」