こういう時、どうすれば良いのだろうか。いわゆる『オフ会』というやつを誰かに言えば良いのだろうか。そう思ったが、そもそも
そんなことをしたことがなかったので、どうしたら良いのかわからない。ここは私の友人でその道の第一人者である愛子に聞こうと
思った。そう考えていると愛子に会ったので、話をしてみることにした。
「愛子、ちょっと相談したいことがあるんだけど」
「どうしたの？奈々」
さて、いざ話すとなると少し恥ずかしい。だが私から声をかけてしまった以上、話さないわけにはいかない。
「今やってるアニメあるじゃない。あれでね、私も『推し』だなって思えるキャラが出来たんだけど」
「え？そうなの？じゃあ奈々も推し活を頑張るしかないね！」
「うん、推し活って言うのが出来ているかはわからないんだけど、キャラクターの情報はたくさん集めてるんだ。グッズとかも
目に止まったものは全部買ってる。それは良いんだけど、ちょっと最近他の欲が出てきちゃってね」
「他の欲って何？」
「そのキャラクターについて、誰かと話したいなって思ってるの。ネット上で私の推しが同じ人たちがいて、その人たちと話すのは
良いんだけど、リアルでも話したいなって思って・・・」
「そうなんだ。ちなみに、さっきからずっと言わないけど、なんのアニメのどのキャラなの？私も好きなキャラかもしれないし」
「言わないと駄目だよね。えっと、『異世界転生物語』の『セシウス』なんだけど・・・」
「キャラはわかるけど、あのキャラが好きなんだね。意外というか・・・セシウスのグッズなんてほとんどないでしょ？」
「そんなことないよ！カードとか、フィギュアとか売ってるんだから！」
「ああ、わかったわかった、ごめんね。推しを悪く言われると怒っちゃうよね」
そんなことを言われて、不意に声が大きくなっていた自分のことが恥ずかしくなった。
「悪いけど、私は別にセシウスのことはなんとも思ってないわ。こうなってくると、オフ会みたいなのをするしかないんじゃ
ない？」
「そうなのかなって思うんだけど、オフ会ってどうやったら良いのかわからなくて・・・」
「あ、そっか。じゃあ私が使っているSNSを教えてあげる。ここだとオフ会をする人たちが多いから、すぐに見つかると思うよ」