「そろそろ、良い時間になってきましたね。このままだとお開きのタイミングがわからないので、終わりにしますか?」
と言った。
「しゃるさんとはこれだけのお付き合いというのは寂しいな」
自分の考えがつい口に出てしまった。驚いた顔をしてこちらを見てくるしゃるさん。なんとか、誤魔化せないだろうか。
「・・・みたいなことを、前回のオフ会で男性から言われたんですよ。ビックリしますよね」
「あ、冗談だったんですか?なんだ・・・」
そう言って、しゃるさんは少し顔を落とした。その姿に、私は心を打たれてしまった。どうせ最後なのだから、当たって砕けろだ。
「いえ、冗談というのが冗談です。最初の言葉は本心でした。もししゃるさんが良かったら、これから食事でも行きませんか?」
私の言葉を聞いて、顔を上げるしゃるさん。
「僕はそうしたいと思っていましたが、良いんですか?」
「良いんですか?と言うと?」
「いえ、だって、男と二人で食事に行くだなんて、セブンさんの彼氏さんに怒られてしまうのではないかな、と思いまして」
「あはは、私に彼氏なんていませんよ。それに、そもそもその話だったら男と二人でカフェに来ている時点でアウトでしょう?」
「え?あ、そうですね。セブンさんはとても素敵な方なので、彼氏がいるものだと思っていました」
「そういう話でいうなら、しゃるさんの方こそ、ですよ。彼女さんに何か言われないかとひやひやしています」
「僕こそ彼女なんていません、ですよ。こんななんの取り柄もないような男を好きになってくれる奇特な女性はいません」
「お互いにお付き合いしている相手はいないということで、最初の話に戻ります。これから、お食事に行きませんか?」
「はい、ぜひお願いします。って、本来ならこういうのは男の僕から誘うものですかね?」
「本当ですよ、もう」
そんなことを言いながら、二人で笑い合った。