ほとぼりが冷め(もちろん私のみのことだけど)、アズールは私を部屋まで送ってくれるという。

険悪な雰囲気から一気に解放され、私のアズール熱はまたしても高まっていた。

「ねえ、アズールはシャルロットのこと好きだった？」

「特にそういった感情を抱いたことはないが」

「そっか、よかった」

それがアズールの本心かどうかはわからないけれど、アズールの口から聞けて私はほっと胸を撫で下ろす。アズールは意味がわからないといった顔をして私を見た。

「ナコは、怖くないのか？」

「何が？」

「突然シャルロットになってしまったんだろう？元の世界とはずいぶん違うようだし、知り合いもいない」

「んー、だってドハマりしてる本の世界だからある程度の知識は持ち合わせてるし、推しのアズールがいるんだもん。怖いよりも嬉しい方が大きいかな。ま、しょせんオタク女子だからね」

あっけらかんと言う私に、アズールは困惑した表情でこちらを見る。

「ナコの言うことは所々意味がわからない」

「わからなくてもいいの。アズールとこうやって話すことができて幸せ感じてるの」

私はふふっと笑ってみせた。