私は図書館へ行くふりをしてアズールの部屋がある騎士隊の宿舎へ向かった。

コンコンとノックするとすぐに招き入れられた。部屋へ入るなり、アズールは物珍しそうに私を見る。

「やはりお前はシャルロットではないな」

「どうしてそう思うの?」

「以前は俺のことを大層嫌っていたようだが」

「えっ!」

「易々と俺の部屋に来るなんてことは絶対なかっただろうな」

なんだって。
シャルロット、それはもったいよ。
だってアズールの部屋なのに。
アズールの部屋なのに!
(重要だから二回言ってみた)

「俺に触れられるなんてもってのほかだろう。お前は拒まなかったな、なぜだ?」

「なぜって」

私は数時間前の壁ドンのことを思い出す。
アズールとの距離が近すぎてドキドキしっぱなしだった。しかも頬を撫でられるとか、尊死するかと思った。

ぐるぐると頭の中だけで騒いでいると、アズールは重い口を開く。

「シャルロットは一度死んでいる」

「え、死んだ?」

シャルロットが死んだ?
じゃあやっぱり私は転生?