自分でも、「無理しています」感は否めない。
授業が始まった。
現国の授業。
教科書の本文を音読する先生の声。
耳から入ってくるその声の情報を、一旦シャットアウトしてみる。
脳内で陸くんの甘い声に変換してみる。
優しくて、甘い声。
ちょっと低めで、若干鼻声みたいに聞こえる。
私の大好きな声。
陸くんの声に、何度耳を澄ましたんだろう。
何度、救われたんだろう。
私の耳にしっくり馴染んで、胸の真ん中にすとんと落ちていく、あの優しい声に。
お昼休み。
「みのりちゃん、食べないの?」
あきらちゃんの心配そうな声がした。
「あっ、食べてるよ、大丈夫」