「陸くんの作るラブソングはどれも大好きだけど、この曲は私にとって『大好き』という枠を超えた、大切な曲です!!」
「分かる、分かるよ!!」
「陸くんが作った曲だけど!!」
「だけど!?」
私は一度深呼吸する。
『手のひらに君の声』の前奏が始まった。
私は目を瞑る。
そして言った。
「深森陸くんに、逆に、捧げたい曲です!!」
真剣な気持ちで言った言葉だけど、あきらちゃんにウケた。
「ごめん」と謝りつつ、あきらちゃんは笑顔で歌を聴いてくれている。
ラブソングなんて、と思っていた。
陸くんを知るまでは、共感も何も無かった。
私には遠い世界の出来事のように思えていたから。