私はまず、陸くんのことを知ったきっかけである曲を歌うことにした。
「『スター』!!名曲だよね!!」
テレビ画面に出た曲名を見ながら、あきらちゃんがマイクを通して大声で叫ぶ。
「私、この曲がリリースされた頃はまだ中学生で!仲良しグループのみんなと上手くいってなくて!!いつも退屈な毎日だなって思ってた!!」
部屋の中いっぱいに、曲が流れ始める。
前奏に乗せて、私は叫んだ。
「そんな毎日を救ってくれたのが、陸くんのこの曲です!!」
「イェーイ!!」
あきらちゃんも乗ってくれたところで、私は歌い始めた。
『スター』は、退屈な日々だと思っていた曲の中の主人公の毎日が、実は宝物みたいにかけがえのない毎日だったことに気づく歌で。
もう二度と帰ってこない昨日を夜空の星に見立てて、今日という日を大切にしよう、ということを歌っている。