駅を出て歩き出したら、小雨がぽつぽつ落ちてきた
コンビニによってビニール傘を買うほどじゃないと思ったあたしは、そのままアパートに続く坂を登りはじめる
時刻は午後七時ぐらい
大学の友達とごはんを食べて帰ってきた
彼はもう隣の部屋に帰り着いたかな
今年の春から社会人になったらしい彼がどこに勤めているかなんて知らない
朝は早いみたいだけど、いつも午後六時すぎには帰ってくる
残業のない会社なのか、まだ新人だから早く帰れるのか
あたしは彼のことをなんにも知らない
歩きながら小さくため息をつき、しっとり濡れてきた髪に手をやり、空を見上げる
やっぱり買えばよかったかな、傘
「こんばんは」
いきなり声をかけられ、あたしはびくりと動きを止めた
優しい響きをもつやわらかい声
ふりかえると、お隣さんが微笑んで立っていた
「こんばんは」
どきどきしながら挨拶を返すと、彼はブルーの傘をさしかけてきた
「風邪ひきますよ」
「え……?」
「よかったら一緒に入って帰りませんか?」
夢でも見ているんじゃないかと思いつつ、うなずいて歩き出す
コンビニによってビニール傘を買うほどじゃないと思ったあたしは、そのままアパートに続く坂を登りはじめる
時刻は午後七時ぐらい
大学の友達とごはんを食べて帰ってきた
彼はもう隣の部屋に帰り着いたかな
今年の春から社会人になったらしい彼がどこに勤めているかなんて知らない
朝は早いみたいだけど、いつも午後六時すぎには帰ってくる
残業のない会社なのか、まだ新人だから早く帰れるのか
あたしは彼のことをなんにも知らない
歩きながら小さくため息をつき、しっとり濡れてきた髪に手をやり、空を見上げる
やっぱり買えばよかったかな、傘
「こんばんは」
いきなり声をかけられ、あたしはびくりと動きを止めた
優しい響きをもつやわらかい声
ふりかえると、お隣さんが微笑んで立っていた
「こんばんは」
どきどきしながら挨拶を返すと、彼はブルーの傘をさしかけてきた
「風邪ひきますよ」
「え……?」
「よかったら一緒に入って帰りませんか?」
夢でも見ているんじゃないかと思いつつ、うなずいて歩き出す