『――ここの夕日はとても綺麗です』『皆さんも是非一度希望(のぞみ)町の夕日をこの秋に見に来てみませんか』少女と少年が電車でガイドブックを読んでいた。「兄さんはこの夕日をどう思いますか?」「僕はとてもきれいな夕日だと思うよ」「そうですね」『次は希望町。次は希望町。』電車のアナウンスが入る。
「兄さん、つきましたよ」「じゃあ降りよう」二人は周りの景色を見渡した。
二人は微笑みあった。

――7年後 東京
あの少女は墓参りに来ていた。そしてぼそりと呟いた。
「夕日、いっしよに見たかったですね…」彼女の敬語癖はいつになってもなおらないようだ。