「ごめん。なんか私、色々話しすぎたね」

「ううん、俺は嬉しいよ。柚歌の事なら何だって知りたいから。きっと柚歌のお母さん、柚歌の事が心配で仕方ないんだね。それにしても叩くことは無いのにな」

ゴツゴツした大きな手が私の顔を包み込んで、涙に濡れた頬をそっと拭う。

「うん。心配されてるんだって、本当は自分でも分かってるんだ。だけどああしろこうしろ、あれもダメこれもダメって毎日そればっかり言われてると、なんだか私の全部が否定されてるような気がしちゃってさ……私って……そんなにダメなのかなって……」

再び溢れてきた涙に声を詰まらせた時、泰輝は私を強い力で抱き締めた。

「馬鹿だなぁ、柚歌はダメじゃないよ。優しくて良い子だって、俺はちゃんと分かってる」

過去も、痛みも、弱さも。
温かい腕の中で、全てがゆっくりと溶かされていくような気がした。
ありのままの自分を受け入れてもらえる心地よさを、初めて知った。

「今俺に話してくれた事、お母さんにも話してみたら?」

「それは無理だよ。お母さん、私の話なんて聞いてくれた事ないもん」