嵐の過ぎ去った後、私たちはコンビニで昼食を買って、泰輝の家へと向かった。

「今日の那月ちゃん、一段とテンション高かったね」

「うん。泰輝の家で勉強するって話したら、なんか喜んじゃって」

私が肩をすくめると、泰輝は紺色の傘からひょっこり顔を出して「なるほどね」と笑った。

「那月ちゃんらしいな、さすが秀の彼女だ」

「本当にお似合いだよね、あの二人」

何故だか不思議と憎めないカップルの話をしながら、私たちは傘を並べて堤防沿いを歩いた。

強くなった雨はぽつぽつと傘を伝って、制服に水玉模様を作る。
ようやく見慣れてきたと思っていた景色が、今日はまるで違う場所のように見えた。
雨を含んだ波は荒々しく、どこか寂しげだ。

「今日土曜日だからお家の人いるよね、お邪魔しちゃって大丈夫?」

「母さんと兄ちゃんがいるけど、親父は出掛けてる。母さんは柚歌に会うの楽しみにしてたよ」