「つまんねー！でも柚歌ちゃん知ってる？こいつ結構早い段階から、柚歌ちゃんのこと好きだったんだよ？」

秀くんの勢いは止まらない。
つい嬉しくなって泰輝を見上げると、彼は真っ赤な顔をして、コップに残っていた氷をガリガリと噛み砕いていた。

「あー本当にもう……秀は余計な事言い過ぎなんだよ！」

「だって本当の事だろ？」

「それを言うなら柚歌だって、いっつも泰輝くんの話ばっかりしてたんだから〜」

黙って聞いていた那月が面白がって秀くんに加勢し始めたので、今度は私の分が悪くなった。

「もー、ちょっと那月！」

「あーあ、二人にも見せたかったなー。泰輝くんに会いに行かなきゃ！ってファミレス飛び出して行く可愛い柚歌♪」

「なんだ、柚歌そんなに俺の事が好きだったの？」

「くー！青春だねぇ。俺も見たかったなー柚歌ちゃんのその姿」

「もう！皆揃ってやめてよね！」

私が少々ふてくされてみせると、三人は声を揃えて大笑いした。


泰輝が空になったコップを手に席を外すと、秀くんは急に真面目な顔をした。

「泰輝ってさ、本当にいい奴だから絶対柚歌ちゃんの事幸せにしてくれるよ。俺が保証する！」

その隣で秀くんと私を交互に見ながら、那月はニコニコと頷いている。