「これがあれば私、大丈夫な気がする!ありがとう」

手のひらを差し出した私を見て、泰輝くんはクスッと笑った。
その顔がしばらくして再び真剣さを取り戻したのに気がついて、私はそっと手を引っ込めた。

「俺は貝殻なんかじゃなくてさ、もっと大きな……海みたいな男になって、柚歌ちゃんを守ってあげたい」

「えっ?」

はっきりと聞こえていたのに思わず聞き直したのは、それがあまりに信じられないような言葉だったからだ。

「あーいや!今のはクサすぎるよね。何言ってんだ、俺」

泰輝くんは独り言のように呟くと、勢いよく立ち上がって波打ち際の方へ歩いていってしまった。
その表情は見えなかったけれど、何となく想像はついた。

立ったり座ったり、落ち着きなく動き回るその背中をしばらく見守っていると、突然こちらを振り返った彼は真っ直ぐに歩いてきて、私の前にしゃがみ込んだ。
彼の瞳は私を捉えたまま、一向に離そうとしない。流れていく空白が、私を煽る。

「柚歌ちゃん、俺と付き合ってくれない?」