「柚歌さ、泰輝くんと何かあったんでしょ」
他愛もない話の後、ドリンクバーで注いできたばかりのアイスティーをカラカラとかき混ぜながら、那月は唐突に切り出した。
「あーあ。本当に、那月には敵わないなぁ」
一度だけ頷くと、彼女は大きな目で私を捉えたままアイスティーを一口飲んだ。私はいつその事を言われるのだろうかと、内心ビクビクしていた。
「あのクッキーの日以来、泰輝くんの事何にも話さないんだもん、なんかおかしいと思ってた」
それは断定的な言い方でありながら、こちらの出方を探っているようにも聞こえる。
「まぁ、当たって砕けたと言うか、当たる前に砕けたと言うか……」
話の核心に触れられないせいで、不自然な程に抽象的な言い方になった。私がそれ以上何も話せないでいると、那月は何度か小さく頷いて、もう追求してこなかった。
「それで?諦めちゃうの?」
「うーん……」
その答えを導き出せるような知識も経験も私には無い。いっそ誰かが、いや、願わくば那月が、もうダメだから諦めろと言ってくれればいいのに。そんな事さえ思った。
「実は私さ、中学の時、秀くんに一回振られてるんだよね」
他愛もない話の後、ドリンクバーで注いできたばかりのアイスティーをカラカラとかき混ぜながら、那月は唐突に切り出した。
「あーあ。本当に、那月には敵わないなぁ」
一度だけ頷くと、彼女は大きな目で私を捉えたままアイスティーを一口飲んだ。私はいつその事を言われるのだろうかと、内心ビクビクしていた。
「あのクッキーの日以来、泰輝くんの事何にも話さないんだもん、なんかおかしいと思ってた」
それは断定的な言い方でありながら、こちらの出方を探っているようにも聞こえる。
「まぁ、当たって砕けたと言うか、当たる前に砕けたと言うか……」
話の核心に触れられないせいで、不自然な程に抽象的な言い方になった。私がそれ以上何も話せないでいると、那月は何度か小さく頷いて、もう追求してこなかった。
「それで?諦めちゃうの?」
「うーん……」
その答えを導き出せるような知識も経験も私には無い。いっそ誰かが、いや、願わくば那月が、もうダメだから諦めろと言ってくれればいいのに。そんな事さえ思った。
「実は私さ、中学の時、秀くんに一回振られてるんだよね」