「はー……びっくりした……」
堤防の上でへたり込んだ私を見て、泰輝くんは途端にケラケラと大きな笑い声を上げた。
「ごめんごめん!ちょっと無理させた。でもほら、見てよ」
指差された堤防の下をそっと覗いてみると、そこには道路側からは見えなかった階段があった。
そしてその下にはこぢんまりとした砂浜があり、青く透き通る波がゆらゆらと打ち寄せている。
「わぁ、すごい……!」
「俺のとっておきの場所。ここ穴場でさ、ほとんど人が来ないんだ」
思わず目を見張った私を見て、泰輝くんは心なしか満足げだ。
慣れた様子で階段を降りていく泰輝くんの後ろを、私は足を踏み外さないよう一段一段慎重に追いかけた。
階段の一番下段で腰を下ろし、足だけを砂浜へ投げ出すと、じんわりとした砂の熱さが靴裏にあっという間に伝わった。