その後話はとんとん拍子に進み、なんとか相槌を打っているうちに電話は切れた。
"じゃあ、明日の放課後"
彼が最後に言ったその言葉だけがはっきりと耳に残っていて、私は腰掛けていたベッドの上にそのままふにゃふにゃと倒れ込んだ。
翌日の放課後。改札口前の広場でひとり、私は必要以上に何度も腕時計を確認していた。
那月には用事があるとだけ伝え、泰輝くんの事は言わなかった。
泰輝くんに会う事を話せばオーバーに騒ぎ立てられ、余計にペースを乱されるのが目に見えていたからだ。
嘘をついたとかそういう訳ではなかったけれど、にこやかに手を振りながら帰っていく彼女を見てほんの少しだけ胸が痛んだのも確かだった。
人影が近づくたびソワソワしていつまでも落ち着かない。何を隠そう、男の子と二人で待ち合わせをするのは今日が生まれて初めてなのだ。
せわしなく行き交う人々をキョロキョロと目で追いかけながら、心の中では自分を励まし続けていた。
広場の隅で泰輝くんを待ち始めて十五分、何かがおかしいことにようやく気がついた。
"学校が終わったら連絡する"
昨夜彼にそう言った事を、すっかり忘れてしまっていたのだ。連絡してもいない相手を待ち続けていた自分の間抜けっぷりが可笑しくて、思いがけず緊張が解れる。
"じゃあ、明日の放課後"
彼が最後に言ったその言葉だけがはっきりと耳に残っていて、私は腰掛けていたベッドの上にそのままふにゃふにゃと倒れ込んだ。
翌日の放課後。改札口前の広場でひとり、私は必要以上に何度も腕時計を確認していた。
那月には用事があるとだけ伝え、泰輝くんの事は言わなかった。
泰輝くんに会う事を話せばオーバーに騒ぎ立てられ、余計にペースを乱されるのが目に見えていたからだ。
嘘をついたとかそういう訳ではなかったけれど、にこやかに手を振りながら帰っていく彼女を見てほんの少しだけ胸が痛んだのも確かだった。
人影が近づくたびソワソワしていつまでも落ち着かない。何を隠そう、男の子と二人で待ち合わせをするのは今日が生まれて初めてなのだ。
せわしなく行き交う人々をキョロキョロと目で追いかけながら、心の中では自分を励まし続けていた。
広場の隅で泰輝くんを待ち始めて十五分、何かがおかしいことにようやく気がついた。
"学校が終わったら連絡する"
昨夜彼にそう言った事を、すっかり忘れてしまっていたのだ。連絡してもいない相手を待ち続けていた自分の間抜けっぷりが可笑しくて、思いがけず緊張が解れる。