タンクや重り、フィンをつけると思った以上に身動きが取れず、途端に不安が押し寄せてきた。

「エントリーは転びやすいから、二人とも慎重になー!」

前方でヒロさんが叫んでいる。
まだ海に浸かってもいないのに、慣れないフィンに足を取られ、既についていくのに精一杯だ。
私は学生時代の体育の成績が、いつも"2"だった事を、いまさらになって思い出した。

「よし!それじゃ、まずは足のつくところで呼吸の練習。レギュレーターをしっかり咥えてれば大丈夫だから。ゆっくり深呼吸する様に、口で呼吸して」

ヒロさんの合図で海中に顔をつけてみたものの、不安のせいで呼吸が早くなり、息苦しさが更に恐怖を煽って、私はすぐに顔を上げてしまった。
一方けっして運動神経の悪くない那月はというと、あっという間に呼吸をマスターしたらしく、既にベテランダイバーの風格だ。

「柚歌、平気?」

ダイビングをしてみたい。そう言って誘ったのは私なのに、那月に心配されてしまう始末。
岸の上ではユキさんが、心配そうにこちらを見ている。