夕暮れ色に染まり始めた街並みは、あの頃と違っていて、なんだか少し寂しくなった。

「那月、悪いけど、先に帰っててもらえるかな?私、少し寄るところがあるから」


「いいけど……泰輝くんのところ?」

返答によってはついて行くと言い出しそうな那月に、私は首を横に振った。

「違うけど、まぁ、そんなところかな!」

おどけて笑って見せた私に、彼女がそれ以上聞いてくる事はなかった。

「ふーん、分かったよ。それじゃ柚歌、また連絡してね♪」

「あっ那月!待って」

「うん?」

「親友の那月に、ちょっと頼みたい事があるんだけど」

「何?なんか気味悪いなぁ……」

「あのね……」

那月は私のお願いを二つ返事で快諾したあと、家路を急ぐ人混みの中にあっという間に吸い込まれていった。