小刻みに震える背中にそっと触れると、彼女は首を横に振った。
「ううん、違うの……」
「えっ?」
「私、恐かったの……柚歌が帰って来なくなっちゃって、いつか柚歌まで居なくなるんじゃないかって。本当はずっと恐かった。
あの日私が熱なんか出したから……それに、柚歌に泰輝くんを紹介したのも私だから。もし柚歌に何かあったら、私のせいだって、ずっと思ってた。だけど、柚歌の前では泰輝くんの事、話せなかった。柚歌が自分から話してくれる時が来るまで待とうって。だからね、私、嬉しくて……」
口に出さない事が、お互いの為なのだと思っていた。
けれどそれは臆病が故の、ただの言い訳だったのかもしれない。
「那月、ごめんね。私、ずっと自分の事ばっかりで。那月だって辛い立場だって、分かってたはずなのに……でもね、あれは事故だったの。私も那月も秀くんも、誰も悪くなかった。ようやくそれが分かったから、私はこうして帰ってこられたの。それに、これだけは言わせて。私、泰輝に出会った事は、一度も後悔してないよ。
泰輝と過ごした時間は、私にとってかけがえのないものだから。那月と秀くんと、四人で過ごした事も」
「ううん、違うの……」
「えっ?」
「私、恐かったの……柚歌が帰って来なくなっちゃって、いつか柚歌まで居なくなるんじゃないかって。本当はずっと恐かった。
あの日私が熱なんか出したから……それに、柚歌に泰輝くんを紹介したのも私だから。もし柚歌に何かあったら、私のせいだって、ずっと思ってた。だけど、柚歌の前では泰輝くんの事、話せなかった。柚歌が自分から話してくれる時が来るまで待とうって。だからね、私、嬉しくて……」
口に出さない事が、お互いの為なのだと思っていた。
けれどそれは臆病が故の、ただの言い訳だったのかもしれない。
「那月、ごめんね。私、ずっと自分の事ばっかりで。那月だって辛い立場だって、分かってたはずなのに……でもね、あれは事故だったの。私も那月も秀くんも、誰も悪くなかった。ようやくそれが分かったから、私はこうして帰ってこられたの。それに、これだけは言わせて。私、泰輝に出会った事は、一度も後悔してないよ。
泰輝と過ごした時間は、私にとってかけがえのないものだから。那月と秀くんと、四人で過ごした事も」
