地元に帰ってきて一ヶ月半。新しい仕事はまだ慣れない事も多いけれど、前職のスキルが活かせる面もあり、職場では"期待の新人"なんて呼ばれ始めている。
実はその言葉がプレッシャーになって、仕事を家に持ち帰る事もしばしば。

「しばらくは実家で暮らすの?」

「うん。もう少し仕事に慣れたら、部屋探そうと思ってるけど、しばらくは甘えさせてもらうつもりだよ」

「そっか。ご両親も柚歌がこっちに帰ってきて喜んでるでしょう?私も柚歌が帰って来て嬉しいもん」


「お母さんは特に安心したみたい。ウチ、お父さんの単身赴任が長かったでしょう?だから家族三人で暮らすのってほとんど初めてみたいなものでさ。なんかちょっと慣れないけど、悪くはないよ」

那月は私の言葉にうんうんと頷いてから、フライドポテトにケチャップをたっぷりつけて頬張った。同じように一つ口に運んでみると、少々強すぎる塩味が昔のままだった。

「でもさ、まさか柚歌がこっちに帰ってくるとは思わなかった。あ、私は嬉しいけどね!何でまた急に?」