「私ね、本当はずっと思ってたんだ。いつかは帰らなきゃ、泰輝に会いに行かなきゃって。だけどあの日私が一緒に行かなかったせいで泰輝は……そう思うと、慎くんにも泰輝のお父さんとお母さんにも合わせる顔が無くて……」

「柚歌ちゃん、それは違うよ。あれはどうしようもない事だった。事故だったんだよ」

秀くんは食い気味に、はっきりとした口調でそう言った。

泰輝が突然居なくなったあの日。
秀くんは泰輝を誘った自分を責め続けていた。
那月は熱を出した自分を。
私は泰輝について行かなかった自分を責めた。
そして今日まで、あの日の自分を許す事が出来無いままだ。

「今更何を言ったって、仕方ないのは分かってる。分かってるけど、もしあの日私が一緒に行けば、今も泰輝は生きてたかもしれない。それだけはどうしても……」 

「柚歌ちゃん、ごめんな。俺、もっと早く連絡したら良かった。柚歌ちゃんの気持ちは、俺にも痛い程分かるよ。確かに俺も、あの時は自分を責めたから。
だけどさ、泰輝は絶対そんなの望んでないと思うよ。そんな風に自分を責めてる柚歌ちゃん見て、泰輝が浮かばれると思う?」

泰輝の目に、今の私は一体どう映るのだろう。
秀くんの問いに、私は何も答える事が出来なかった。