「柚歌ちゃんと付き合ってからの泰輝はさ、いっつも柚歌ちゃんの話してたよ。最近柚歌が明るくなったんだとか、本当に嬉しそうに笑うようになったんだとか、上手くいってなかったお母さんとも仲良くなって俺も嬉しいんだとか、もう本当にこっちがウンザリしそうなくらい、柚歌ちゃんの事ばっかり。あの日もさ……泰輝、救急車の中で……最期に俺になんて言ったと思う?」
私は首を横に振った。
本当はずっと知りたかったのに、恐くて聞けなかった泰輝の最期の言葉。もしかすると秀くんも、それを口に出すまでには随分時間が必要だったのかもしれない。
「泰輝、意識朦朧としてるのにさ"柚歌に今日は行けそうにないからごめんって伝えてくれ"って言ったんだよ。あいつ……馬鹿だよなー。本当に」
秀くんが言い終える前に、涙が溢れた。
後から後から溢れてくる涙は、もう止まらなかった。
「わっ、柚歌ちゃん、ごめん。俺酔っ払って色々話し過ぎたかな」
秀くんは慌てた様子で辺りを見回すと、テーブルの隅にあったペーパーナプキンを何枚も差し出した。
カウンター越しに私たちを見ていたお店の大将は「女の子を泣かせるんじゃない」と秀くんを非難した後、私に新しいおしぼりを手渡してくれた。
「秀くんごめんね。私、なんだか嬉しくて」
「そっか。柚歌ちゃん泣かせるなんて、泰輝に怒られちゃうな、俺」
秀くんは少し安心したように、息をついた。
私は首を横に振った。
本当はずっと知りたかったのに、恐くて聞けなかった泰輝の最期の言葉。もしかすると秀くんも、それを口に出すまでには随分時間が必要だったのかもしれない。
「泰輝、意識朦朧としてるのにさ"柚歌に今日は行けそうにないからごめんって伝えてくれ"って言ったんだよ。あいつ……馬鹿だよなー。本当に」
秀くんが言い終える前に、涙が溢れた。
後から後から溢れてくる涙は、もう止まらなかった。
「わっ、柚歌ちゃん、ごめん。俺酔っ払って色々話し過ぎたかな」
秀くんは慌てた様子で辺りを見回すと、テーブルの隅にあったペーパーナプキンを何枚も差し出した。
カウンター越しに私たちを見ていたお店の大将は「女の子を泣かせるんじゃない」と秀くんを非難した後、私に新しいおしぼりを手渡してくれた。
「秀くんごめんね。私、なんだか嬉しくて」
「そっか。柚歌ちゃん泣かせるなんて、泰輝に怒られちゃうな、俺」
秀くんは少し安心したように、息をついた。