カウンターに並んで座ると、秀くんはなんでも注文するようにと言って、手慣れた様子でメニュー表を開いた。
彼のおすすめと定番の品をいくつか見繕い、私たちは間もなく運ばれてきた中ジョッキを持ち上げた。

「ところで秀くん、今日は何の話なの?」

「まぁまぁ。四年ぶりの再会なんだから、今日はゆっくり話そうよ」

既に半分程空になったジョッキをテーブルに置いて、秀くんが私をたしなめる。

「だって秀くんが急に会おうなんて変だもん。何か話があるんでしょう?気になっちゃって、ビールの味もよく分からないよ」

「確かにそれもそうだよな。じゃあ面倒臭い前置きは無しにするけど、このあいだ慎さんから電話があってさ」

「慎くんから?」

「うん。泰輝の七回忌の日程が決まったって。柚歌ちゃんに来て欲しいけど、連絡するかどうか迷ってるって言ってた。柚歌ちゃんが新しい場所で楽しくやってるなら、もう泰輝の事で縛りたくないからって」

慎くんから最後に連絡が来たのは、四年前のちょうど今頃。あの時どうしても故郷に帰る気になれなかった私は慎くんの申し出を断り、三回忌には参加しなかった。