サキさんは健ちゃんの大学の時の一つ上の先輩で、健ちゃんは大学生の時から彼女に片思いをしている。
サキさんには付き合ってもう随分長い彼氏がいるらしいが、どうやら健ちゃんの事もキープしておきたいみたいだ。
健ちゃんはサキさんの「彼氏と上手くいってない」という言葉に、もう何年も縛られ続けている。
とはいえ本当は、彼も心のどこかでは真実を理解していて、それでも目を瞑っているだけなのだと思う。
「健ちゃんはいつまでサキさんの事追いかけるの?」
「……それを言ったら、柚歌はいつまで泰輝くんの事好きでいるんだ?」
「ごめん。なんか野暮な事聞いちゃった」
「そうだろ?惚れた弱みってやつだよな。どうしようもねぇよ本当に」
「どうにもなんないね、本当に」
健ちゃんは表情を崩さないまま、私の頭をくしゃくしゃと乱した。
健ちゃんの隣は凄く居心地が良い。健ちゃんもきっとそう思ってくれているから、私たちはこうしていつまでも側にいるのだと思う。
けれど私はサキさんにはなれないし、健ちゃんだって泰輝とは何もかもが違っている。
私たちはお互いに埋められないものを抱えながら、ただこうして傷の舐め合いをしているだけに過ぎないのだ。
サキさんには付き合ってもう随分長い彼氏がいるらしいが、どうやら健ちゃんの事もキープしておきたいみたいだ。
健ちゃんはサキさんの「彼氏と上手くいってない」という言葉に、もう何年も縛られ続けている。
とはいえ本当は、彼も心のどこかでは真実を理解していて、それでも目を瞑っているだけなのだと思う。
「健ちゃんはいつまでサキさんの事追いかけるの?」
「……それを言ったら、柚歌はいつまで泰輝くんの事好きでいるんだ?」
「ごめん。なんか野暮な事聞いちゃった」
「そうだろ?惚れた弱みってやつだよな。どうしようもねぇよ本当に」
「どうにもなんないね、本当に」
健ちゃんは表情を崩さないまま、私の頭をくしゃくしゃと乱した。
健ちゃんの隣は凄く居心地が良い。健ちゃんもきっとそう思ってくれているから、私たちはこうしていつまでも側にいるのだと思う。
けれど私はサキさんにはなれないし、健ちゃんだって泰輝とは何もかもが違っている。
私たちはお互いに埋められないものを抱えながら、ただこうして傷の舐め合いをしているだけに過ぎないのだ。