「柚歌ー!コンビニ行くけどなんかいる?」
玄関で靴を履きながら、健ちゃんが叫んだ。
「タバコ買ってきて。あと、適当にお菓子!」
「甘いの?しょっぱいの?」
「しょっぱいの」
「はいよ」
「ありがと!いってらっしゃい」
私は昨夜から健ちゃんのマンションに入り浸っている。
最近は週末の度にお互いの家を行ったり来たりするのが、すっかり定番になってきた。
高校卒業と同時に就職し、逃げるようにして故郷を出てきたのは、もう四年も前の事。
泰輝が居なくなったあの日から今日まで、私の心と体は別々の時間軸を生きてきた。
過ぎ去ったあの日々に心を置き去りにしたまま、私は泰輝がなれなかった大人になった。
成人式には出席しなかった。
泰輝を追い越して私だけが大人になるなんて、どうしたって受け入れられるはずはなかったのだ。
けれど過ぎて行く時間に逆らう事は出来ず、結局この町が私を大人にさせた。
毎日の残業や月一の飲み会、いつの間にか覚えたタバコ。金曜の夜の満員電車。
色んなことを上手くこなして、私の体はどうにか今を生きている。
玄関で靴を履きながら、健ちゃんが叫んだ。
「タバコ買ってきて。あと、適当にお菓子!」
「甘いの?しょっぱいの?」
「しょっぱいの」
「はいよ」
「ありがと!いってらっしゃい」
私は昨夜から健ちゃんのマンションに入り浸っている。
最近は週末の度にお互いの家を行ったり来たりするのが、すっかり定番になってきた。
高校卒業と同時に就職し、逃げるようにして故郷を出てきたのは、もう四年も前の事。
泰輝が居なくなったあの日から今日まで、私の心と体は別々の時間軸を生きてきた。
過ぎ去ったあの日々に心を置き去りにしたまま、私は泰輝がなれなかった大人になった。
成人式には出席しなかった。
泰輝を追い越して私だけが大人になるなんて、どうしたって受け入れられるはずはなかったのだ。
けれど過ぎて行く時間に逆らう事は出来ず、結局この町が私を大人にさせた。
毎日の残業や月一の飲み会、いつの間にか覚えたタバコ。金曜の夜の満員電車。
色んなことを上手くこなして、私の体はどうにか今を生きている。